関西独立リーグ

今年開幕した関西独立リーグが早くも経営危機に陥り、ゴタゴタの末、運営会社のステラが撤退。各球団による独自運営が行われることになったそうだ。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00155558.html
http://www.daily.co.jp/baseball/2009/05/21/0001935738.shtml
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2009/05/21/15.html
http://www.j-cast.com/tv/2009/05/21041556.html
http://www.nhk.or.jp/news/k10013113831000.html


私自身は野球は見るだけでやらない人なのですが、野球独立リーグは先駆けの四国アイランドリーグ(現・四国九州アイランドリーグ)が立ち上がったときから、主に地域活性化の側面から注目して動向は見ていました。実際試合も見に行ったことがあります。
関西独立リーグは四国九州アイランドリーグ(IL)・BCリーグ(BCL)につづく国内3番目の独立リーグとして初めての「都市型独立リーグ」。しかも関西は阪神タイガース以外の「プロ野球」不毛の地。どのような運営で地域に根を下ろしていくのか、果たして成功できるのか、非常に興味を持って見ていた。
女子のみのチームではなく男性チームに混ざる形での日本初の「女性プロ野球選手」吉田えり選手と契約し、全国区の話題づくりに成功した反面、観客動員は先行のILやBC以上に苦戦しているのも知っていた。果たしてどうなるのか・・・と見ていた矢先の今回の騒動。正直ガッカリなんてもんではなく本気で失望しました。
開幕からわずか2ヶ月でのこの醜態は恥以外の何物でもない。
全く初めての試みならいざ知らず、日本にはすでにIL・BCLという先行事例が2つもあるのに、関西独立リーグはこの2つのリーグから結局何も学んでいなかったことが露呈した、ということ。先行2リーグが未だに赤字基調なのに加え、ただでさえ関西での興行には懐疑的な見方が強かったのですからよほど用意周到に緻密に事を運ばなければならない。それが傍目に見ても分かりきっていたわけですから、「見通しが甘かった」では済まされません。


アイランドリーグも初年度は似たような事態があったが、運営会社のIBLJが大幅な増資をすることで乗り切った。BCリーグはこれに学んで発足時から運営会社も球団も資本金を多く用意することを怠らなかった。
以下、各ホームページの企業概要から資本金のデータを拾ってみました。


BCリーグ
株式会社ジャパンベースボールマーケティング 1億円*1


新潟アルビレックスBC 1億円*2
信濃グランセローズ 8000万円*3
富山サンダーバーズ 9325万円*4
石川ミリオンスターズ 9200万円*5
福井ミラクルエレファンツ 5670万円(3140万円から増資)*6
群馬ダイヤモンドペガサス 6000万円*7


●四国九州アイランドリーグ
株式会社IBLJ 3億6550万円*8


香川オリーブガイナーズ 1000万円*9
愛媛マンダリンパイレーツ 1000万円*10
徳島インディゴソックス 1950万円*11
高知ファイティングドッグス 1000万円*12
福岡レッドワーブラーズ 1000万円*13
長崎セインツ 1000万円*14


関西独立リーグ
株式会社ステラ 1225万円(神戸9クルーズHPより転載)*15 ※HPには記載なし*16


三重スリーアローズ 800万円
神戸9クルーズ HPに記載なし*17
大阪ゴールドビリケーンズ HPに記載なし*18
明石レッドソルジャーズ HPに記載なし*19
紀州レンジャーズ HPに記載なし*20


このように一番資本金があるのはBCリーグ。運営会社のジャパンベースボールマーケティングIBLJに比べ資本金は少ないが、その分所属各球団の資本金を手厚くしている。アイランドリーグは各球団の資本が脆弱だがリーグ運営会社に増資で補った資本金があり、いざという時に球団の面倒を見れる体制にまだあると思われる。実際昨年の長崎セインツの経営危機に際してはIBLJからの融資でなんとか乗り切っている。
調べてみて驚いたが、これに対して関西独立リーグは撤退したステラからしてこの有様。公表している三重スリーアローズの資本金でも少なすぎるのがここからは読み取れる。既存4球団は資本金さえ公表していない。現在は1円からでも株式会社に出来るのでもしやもっと少ないのでは・・・という想像も成り立ってしまう。まさか1円ということはないだろうが。公表も出来ないような資本金なのだから3000万が得られずに給料の遅配を招いてることからしても、推して知るべし。
後発の関西独立リーグがもし先行の2つのリーグを徹底的にリサーチして発足していたならば、運営していたステラの資本金が1225万円しかないなどということはありえないはずだ。会見でのステラ中村氏の開き直りと誠意の無さにはあきれるばかりだったが、資本金を見ても明らかに無謀で無計画の見切り発車だったことがわかる。たった2ヶ月で尽きるような資金力で独立リーグを始めようなんてお話にならない。





今後の関西独立リーグはどうなるんでしょうね?
各球団もこのままでは信用ならない怪しいイメージしかなく、再生は多難を極めると思います。
しかし、今日の最新情報によると幸い支援に名乗りを上げてくれた企業もあるようですので、もしかすると今年度は何とか開催できるようになるかもしれません。
http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/baseball/etc/news/20090522-OHO1T00080.htm
http://www.daily.co.jp/baseball/2009/05/22/0001939057.shtml
ただ、気をつけないとステラとは別の怪しい企業に利用されたり、下手すると乗っ取られるだけになります。まだ使える吉田えりの広告効果を利用して、自分のビジネスに信用力をつけてひと稼ぎ目論んでるやつらなんてワンサカいるはずです。お金に困ると人間、藁をもすがる気持ちから人の真贋を見抜けなくなるので気をつけて欲しいなと思います。

それにお金に困ると理念とか崇高なものは脇において何でもやってしまいがちです。でも理念やコンセプトは一番大事です。一度ブレると、際限なくブレていきます。

本当は既に信用の定着している地元企業に支援をもらうのが一番いいのですが。強い体質作りには地元企業に株主になってもらったり、役員に入ってもらったりして、出来るだけ多くの「信用のある」地元の人に支えてもらうことです。いち私企業の利益のためのリーグではなく、社会の公器としてのリーグを目指すこと。マスコミを含めたオール関西で支える体制が出来れば観客動員も上向くことでしょう。。。仮に資金を全額肩代わりしてくれるスポンサーが現われても安易に飛びつかないほうがいいのではないでしょうか。怪しい人が参画して、もし今度トラブルがあると本当に潰れます。そして関西では二度と独立リーグは出来なくなるでしょう。そうならないためにも支援を得るのでもちゃんとした身辺のきれいな会社なり個人にしてもらったほうがいい。困窮の中にあってはなおさらリスクマネジメントを忘れないほうがいい。


せっかく関西にも出来た独立リーグだし潰れないでほしいし、関西でも成り立つことを証明してほしいです。もし本気で頑張っていい形で存続が決まるようならば、自分もインフル騒ぎが収まれば一度観戦しに行こうと思っています。